■アウトライン ”竜骨の山道”を意味するキャルヴェグールはラングヨークトルとホフスヨークトル両氷河の間のキョルールを通り、南アイスランドのグトルフォスと北西アイスランドのブロンドゥダルールを結ぶ内陸道路。このルートの途中には川や滝があるが、橋梁が施されている現在では大概の車輌での通行が可能である。 アイスランドへの定住が始まった頃からキョルールはアイスランドの北部と南部を結ぶ重要なルートであった。このルートへの南アイスランドからの入り口は黄金の滝グトルフォスの北10km、サンドアゥ川のすぐ北の地点でアイスランド・ツーリングクラブ所有のマウンテン・ハットがあり、ラングヨークトル氷河の南端近くの湖ハーガヴァトンの側。 キャルヴェグール・ロードのハイライト・スポットはラングヨークトルとホフスヨークトルの両氷河に挟まれた渓谷キョルール(Kjölur)。色鮮やかな高温地熱地帯として知られるクヴェーラヴェトリル(Hveravellir)がその中心。グトルフォスからクヴェーラヴェトリル間の距離は93km。F35はセイジスアゥ川に掛かる橋を渡り、東にブランダ川そして西にグリームストゥングヘイジ荒地を臨む一帯に広がるオイズクールヘイジ荒地を抜け、ブランダ川の土手沿いに横たわるブロンドゥダールル渓谷に入り、キャルヴェグール・ロードの終点となる。クヴェーラヴェトリルとブロンドゥダールル間の距離は72km。
■スポットガイド
★グトルフォス Gullfoss 黄金の滝グトルフォスはキョルール内陸路の南アイスランド側の出入り口となる。グトルフォスの詳細は南アイスランドの「グトルフォス」の項で。 ★ブラゥフェットル Bláfell グトルフォスからキョルール内陸路を北に向かい氷河川サンドアゥを渡り、大河クヴィートアゥを右手に見ながら荒涼とした砂礫層が広がる一帯を約1時間のドライブしたところに位置する山で、南西アイスランドの最高峰(標高1204m)。 ★ハーガヴァトン Hagavatn ラングヨークトル氷河の南東の端っこ部にある湖。アイスランド・ツーリングクラブが運営するハットがあり、夏には(7月〜8月)番人が駐在する。 ★クヴィータゥルヴァトン Hvítárvatn ラングヨークトル氷河が創り出した氷河湖。ラングヨークトル氷河の東側のノルズゥルヨークトルとスーズゥルヨークトルの二つの支氷河が融けてできたもの。広さは26.6平方km、最深部84m。標高419mの高地にある 。氷河から崩れ落ちた氷塊が湖面に漂う景観に出遭えることも多い。湖に浮かんでいる氷魂を縫ってのボート観光(約40分)も楽しめる(夏季)。 ★クヴィータゥルネース Hvítárnes クヴィータゥルヴァトン湖の北東の傍に広がる平らな デルタ地帯で数本の川が流れている。ここにはアイスランドでも最も古い山小屋がある(1930年の建築)。ツーリスト用のハット として現在もアイスランド・ツーリングクラブによって運営されており、休憩がとれる。 晴れていればデルタ地帯周辺のパノラマは素晴らしく、ここを訪れる楽しみの一つとなっている。この一帯には古いファームの遺跡も残っている。1104年のヘックラ火山の大噴火によって廃墟化された跡と云われている。ハットには雪嵐の中を彷徨い死んだと伝えられる若い女性の亡霊が出ると噂されていて実際ハットに泊まった旅人に目撃されているという。ハットはキョルール・ルートF35からおよそ6km入ったところにある。 ★ラングヨークトル Langjökull ヴァトナヨークトルに継いでヨーロッパで2番目に大きな氷河。詳しい紹介は⇒ ★ケルトリンガルフィヨットル連峰 Kerlingarfjöll ラングヨークトル氷河の西方で、ホフスヨークトル氷河の南方に聳える勇壮な流紋岩質の連峰で「老婦人の山」を意味す る。150平方kmにも及ぶ広大で色鮮やかな流紋岩質の山地は氷河下の火山活動によって創造された連峰だ。幾つかの頂には氷帽が垣間見られる。その最高峰はスナイコットルゥル(1477m)とロズムンドゥル(1432m)。この両山の谷間はいわゆる温泉谷によって分断されている。温泉谷は東西に走っていて、連峰一帯は有数の豊かな地熱地帯となっている。 南西部における山頂ケルトリンガルティンドゥルの斜面に1本の高さ25m、暗黒色の突出岩がたっている。流紋岩の砕石が堆積したがれ場で暗黒色の玄武岩が突き出るように隆起しているのだ。連峰は山峡、峡谷そして渓谷などで刻まれ、深く印象的な地形を造っている。火山活動による亀裂の方向は北部では北西ー南西だが主要な亀裂の方向は北西から南西に走っている。連峰内には少なくても二つのカルデラが確認されている。 ここでは夏スキーが楽しめるほか、スキースクールもある。 ★ホフスヨークトル Hofsjökull 「聖堂の氷河」を意味するほぼアイスランドの中心部に位置している氷河。その面積は925㎢で3番目の大きさ。詳しい紹介は⇒ ★キョルール Kjölur 西側にラングヨークトルそして東側にホフスヨークトルの両氷河に挟まれた渓谷。渓谷の長さは25-30km、海抜は600m-700m。南部には氷河川クヴィートアゥ、北部にはブールフィヨットル山に源を発する清流セイジスアゥ川Seyðisáを抱いている。南部の一帯は氷河時代の名残ともいえる不毛の地で灰色の氷堆石に覆われ、低い山々が台地のようにまるで別の景観のように並置している。たいていの地域は本来は植生地域だが過放牧によって荒れ果てている。キョルール地域にはアイスランド・ツーリングクラブの運営によるハットが幾つかある。その中心はクヴェーラヴェトリル。ほとんどの地帯が溶岩で覆われ、極めて荒涼としている。 ★キャルフロイン Kjarhraun キョルールの中心部に横たわる溶岩台地でその面積は450㎢。キャルフロイン熔岩原の中心部にあるストリートゥル火口には岩石や尖峰が散りばむ。この熔岩原でも地熱活動は観察でき、地面の裂け目から吹き上がる蒸気柱が随所で見られる。 ★クヴェーラヴェトリル Hveravellir 色鮮やかな地熱地帯として知られ、
「温泉平原」の意味の名を持つクヴェーラヴェトリルは、キャルフロイン熔岩原の北端に位置している。クヴェーラヴェトリルは海抜650m、アイスランドでも有数の地熱ゾーン
。ブラゥクヴェール、オスクルホゥルスクヴェール、エイヴィンダルクヴェール、ブライズラクヴェールなどかなりの数の温泉が湧き出ており、それぞれに色彩や形態に特徴があり興味深い。ここはまた自然保護区になっている。アイスランド・ツーリングクラブが運営する温泉プールを備えた宿泊施設(山小屋)があり、また、天然の温泉体験もできる(水着必要)。エイヴィンダルクヴェール温泉近くには18世紀の無法者、通称マウンテン・エイヴィンドゥルのフィヤットラエイヴィンドゥルの住んでいた廃屋の痕が今でも残っていて、彼は温泉熱で肉を煮炊きしていたそうだ。
★オイズクールヘイジ Auðkúluheiði
草地と荒涼とした光景の両面を持っている広大な荒れ地。東にブランダ川、西にグリームストゥング荒地そして南にクヴェーラヴェトリルが控える一帯だ。このあたりの海抜は400-500m。この荒地の多くは1991年に完成したブランダ水力発電の建設のために40㎢の貯水池として水面下になっている。水力発電のためのダムは30㎢と広大な湖を荒れ地の中に誕生させた。スリースティクラ湖、ガルタボゥル湖、ミョゥアヴァトン湖など湖の多い一帯を抜ける附近で、F35からは隠れて見えないがブランダ川が流れる長さ18kmの渓谷がある。ブランダ川の
全長は125kmでアイスランドでは8番目。その源はアイスランドのほぼ中央部分にあるホフスヨークトル氷河(Hofsjökull)。 ★ブロンドゥダールル Blödudalur ブランダ川の土手沿いに横たわる渓谷で、キャルヴェグール・ロードの北の出入り口となる。クヴェーラヴェトリルとブロンドゥダールル間の距離は72km。
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Revised:12/04/10