ツーリスト・スポット徹底ガイド

 

ミーヴァトン&周辺 MÝVATN

  MÝVATN & IT'S SURROUNDINGS

 

 


アウトライン
ミーヴァトン湖
 アイスランドで4番目
に大きく、「蚊(ブヨ)の湖」を意味する湖ミーヴァトンは、溶岩の流れがラクスアゥ河を堰止めて生れた。その位置するところの海抜は277m、面積は36.5平方キロメートルで、湖内には44もの小さな島々が 湖のあちらこちらに点在する。最大の島は湖に流れ込んだ溶岩によって形成された爆発クレーターである。湖への流入物の多くは湖の東岸沿いに水中下で発生した湧き水。レイキャフリーズやヴォーガルで湧き出る水は生ぬるいが他の地域の湧き水は冷たい。湧き水を原水とする湖グライナヴァトンから流れ出る小川グライニライクゥルはミーヴァトン湖に流入する水域としては唯一地表で見られる川だ。

プセイド・クレーター群。湖はかなり浅く、平均すれば2.05m、最深部でも4mだ。隣接する活発な地熱活動や火山地域から熱い地下蒸気が注ぎ込んでいるため、厳しい真冬でも完全に凍結することがない。

湖は大きくイエリフロゥイ(遠い湾の意味)とシージリフロゥイ(最南の湾)のふたつの地域に分けられている。

その名前の由来はこの湖には厄介でうるさい蚊が多いことから付けられている。ここに居る蚊は二種類で、そのひとつは人間を刺す習性を持っている。最も大量に発生するのがユスリカ。ユスリカは繁殖期には小さな竜巻を髣髴させるほどの蚊柱となって湖周辺を飛び交う。この大量の ユスリカの幼虫が野鳥やマスの絶好の餌となっている。

このため、ミーヴァトン湖は野鳥、特にカモの宝庫だ。カモの中、最も数の多いのがキンクロハジロで約6000羽で、次が約3500羽のスズガモと約1500羽のホオジロガモ。そのほか、どこにでも見られるクロガモ、赤褐色の胸が特徴のアイサ、尻尾が長いオカヨシガモそして小型のマガモが一般的。マガモ(マラード)やオナガガモのほか、カワアイサ、ハシビロガモ、ハジロ属のスズガモが棲息している。多種のカモ類のほかにも、スラブ・カイツブリや短耳フクロウなどの珍鳥も棲息している。
 ミーヴァトン湖周辺はアイスランドでも最も火山活動や地熱活動が活発な地帯の一つで、「火の国」アイスランドが実感できるところとしても最適なスポット。1999年7月には釧路管内阿寒町教育委員会とアイスランド大学の共同調査で、阿寒湖を上回る大型球状マリモの大群生があることが確認された。

 

スポットガイド

 

 

レイキャフリーズ Reykjahlíð 

ミーヴァトン地区の中心の村で人口は200人 余り。ミーヴァトン湖北東の湖畔に位置。6,000平方`もの誇大な土地を保有する農家の土地の一部というから驚きだ。この広さはアイスランドでは勿論最大規模。その保有する土地はガイサフィヨットル山脈(Gæsafjöll)やデティフォスの滝辺りからヴァトナヨークトル氷河の北部に地帯に至る広大なものである。ここからそんなに離れていないところには暖かい温泉が出るストゥラギャゥ(Stóragjá)がある。1724年から1730年のクラプラの大噴火した際、流出した溶岩は村の大半を覆い尽くし、小さな丘の上に建っていた教会を残すのみとなるほどの惨劇を受けている

ストゥラギャゥ Stóragjá 

レイキャフリーズのすぐ北に位置、リングロードのジャンクションの南東にある深い割れ目で底の部分には熱い温泉が湧き出ている。安全ロープに導かれて割れ目の底部に辿り着ける。かつて土地の人々はは温泉を楽しんだが、クラプラを中心とする地熱活動(噴火)に因する事由で現在は禁止されている。主な理由は温泉の流れがゆっくりでそのために感染症が心配されるから。

スク−トゥスタダギーガル Skútustadagígar

ラクスアゥ川を渡り、ミーヴァトンに近づくと最初に眼に入るスク−トゥスタダギールガル「突出した土地」「を意味するユニークなクレーター。ここはポスターやパンフレットでしばしば取り上げられている名所で、溶岩流の熱で地下水が爆発噴火したものでクレーター状の小山群を形成していて擬似クレーター・プセイドと称されている。

スクートゥスタジル Skútustaðir 

湖の南西湖畔にあるコミュニテイ。ホテル、キャンプ場、カフェーなどがある。ここを有名にしているのが疑似クレーター・プセイド 、スクートゥスタダギーガル。ミーヴァトン湖と分断されて小さな湖スタクホゥルスチョルトニンの散策も楽しいところ。ミーヴァトン・リサーチ・センターはここにある。

 

 

クラサール Klasar

溶岩湖が突然干しあがって溶岩が次々に重なって形成された奇形の溶岩柱.。ここからスク−トゥスタダギールガルの全貌が眺望できる。

ホプジー Höfði

クラサールのすぐ北にある少し隆起しているところ。公園になっていて、湖の眺めがいいスポッとで野鳥観察にも最適。

 

クヴェルフィヤットル Hverfjall

巨大なフットボール・スタジアムを彷彿させ、左右相称的な姿を呈する標高462mの山。ここの丸みを帯びているクレーターは深さ140m、直径1000m。高温の温泉の山を意味するが、クヴェルフィヤットルは爆発性火口を有する火山としては最も顕著で典型的な容貌を呈している火山で、この種のクレーターとしては世界最大規模のひとつ。クレーターはおよそ2500年前の爆発性噴火によって出現した。山の北西側のスロープは緩やかで絶好のハイキングルートになっているが、南側は傾斜がかなりきつい。

グリョゥタギャゥ Grjótagjá

アイスランドにはユーラシア大陸とアメリカ大陸のプレートが邂逅する割れ目ギャゥがシンクヴェトリルを筆頭に随所で見ることができるがグリョゥタギャゥも有名なギャゥの代表格だ。 「荒石の割れ目」を意味するこのギャゥがユニークなのはその下の洞窟部分に温泉が湧き出していること。18世紀の初め、無法者のヨゥン・マルクーソンがこの洞窟を棲家にして入浴していたとの話が残っている。かつては (1970年代半ばまで)温泉に入ることができたが、1975〜1984年のクラプラの活動によって隆起して温泉の温度が上昇し た結果50℃を遥かに超えてしまい、それ以降温度が高過ぎて今は危険で禁止されている。20年を経た頃から温泉の温度も少しずつ下がってきて50℃以下になったがまだ入浴できる温度にまで達していない。何年か後にはかつてと同様に天然の地下温泉が楽しめる人気のスポットとなる期待が高い。お湯に浸かることはできないが洞窟の中に入って内部を窺うことはできる。ジグザグした狭い割れ目に昇り、割れ目間をジャンプすればいい思い出になるかも。

ルーンデンタボルギル Lúndentaborgir

ミーヴァトン湖の東にある並列状になったクレーター群でスレングスラボルギル火口群から繋がるように横たわっている。両火口群が偶然にも直列して噴火した結果だ。その南西に噴火性火口ルーデント(údent)があるが火口群の姿かたちがそれに近いことからルーンデンタボルギルと命名された。アポロの宇宙飛行士が1969年に月旅行に旅立つ前にアイスランドで訓練を受けたがルーンデンタボルギルもその訓練場のひとつであった。

スレングスラボルギル Þrengslaborgir

ブラゥフィヤットル山の北にある並列状になったクレーター群。スレングスラボルギル火口群から続いて走っている溶岩原、ラクスアゥルフロイン(Laxárhraun)はミーヴァトンの中心部を抜け、ラクスアゥルダ−ルル渓谷に下り、遥かアザルダールル渓谷の北まで続いている。溶岩は約2000年前ほどに流出したものと推定され、ほぼミーヴァトン湖と同じくらい古いもの。

ディムボルギル Dimmuborgir

いお城を意味する、火山活動で形成された複雑な溶岩迷路。およそ2000年前、どろどろした溶岩が湖の水面に落下し、奇妙な黒色の溶岩がブロック状に固まったもの。その名の通り、教会さながらのキルキャンと名付けられた溶岩造形物をはじめ得意な自然の創造物が見もの。迷いやすいので方向標示に従って見学すること。また、ガイド無しで巡るにはコンパスを持参すると便利。

ヴィンドベルギャルフィヤットル山  Vindbelgjarfjall 

およそ1万年前に消滅したものと想定される氷河の底の小規模の噴火によって生まれた雲母で構成された標高529mの山。1万年から12万年前の時代に、ある噴火が200m〜300m厚い氷河下で起きたが、火山物質が氷河で産まれることはなかった。氷河がその姿を消した後、円錐形の雲母で構成された山のみがその周りより約250m高く聳える形で残り、ミーヴァトン地区を見渡すように落ち着いた風格の佇まいを呈している、それがヴィンドベルギャルフィヤットル山だ。

エルドフロイン Eldhraun

その意味は火の溶岩原。1720年代に生まれた溶岩台地で砂漠のような草木も水のない不毛の光景が特徴的な溶岩原。この溶岩原でもアポロ11号の宇宙飛行士が月に旅立つ前に訓練をうけた

クラプラ Krafla

レイキャフリーズからナゥマフィヤットルの脇を走るナゥマスカルズ山道に入り北上したところにある活火山(標高818m)。1981年と1984年9月に噴火し、アイスランドで2番目に若い活火山活動地帯。ここには1975年日本の協力で完成した最新の地熱発電所がある。発電所の近辺には1981年に噴火したレイルフニュークルから噴出した火山灰のつやつやした小さな塊が今も残っている。

アイスランドには現在活動中のものや有史になってずっと活動を続けているものを含めて断層(割れ目)火山が数多くある。クラプラは現在も活発な活動をしているその代表格と云える。長い裂け目に沿って蒸気が絶えず液化している様子からその活動の状態が窺い知れる。。過去2〜3百年に亘って、クラプラは際立って活発な噴火を繰り返してきた。1724年から1730年に大噴火した際、溶岩はミーヴァトン湖まで達し、湖水は沸騰し、湖はわずか2〜3日で乾ききったと云われている。勿論、湖の生物は全滅したのは申すまでもない。流出した溶岩は途中、ミーヴァトン湖北東の村レイキャフリーズを覆い尽くし、小さな丘の上に建っていた教会を残すのみとなるほどの惨劇となった。溶岩流はこの丘で分断されながらも丘の両側を流れ続け湖に流入した。

クラプラの最後の噴火は1984年9月であるが、当時、地熱発電所が既に運転中であり、噴火の影響が真剣に懸念された。その結果、監視所が設けられ、クラプラの活動を24時間監視する体制がとられることになった。

ヴィーティ Víti

ヴィーティの意味は地獄。アイスランド版地獄岳の火山爆発クレーター。このクレーターは1724年から5年続いた噴火により誕生したもので、青緑色をした深さ30m、直径320mの大きな火口湖は静寂で厳かな雰囲気を醸し出していて、水もは濃い緑色。火口湖を徒歩でひと回りすることも可能。

 

 

レイルフニュークル Leirhnjúkur

「粘土の頂」を意味するレイルフニュークルはクラプラの西に位置する活発な地熱地帯。蒸発気の上昇流が硫黄によって黄色くなった丘陵から立ち込めている。

ナゥマフィヤットル Námafjall

ナゥマスカルズ山道の南にある活火山。山の東側は狭い帯状の裂罅(れっか)ゾーンで、温泉活動と月面のような荒涼とした景観で知られる地帯クヴェーラロンドHverarönd。離れたとこらからでも明るい黄金色の光景がはっきり見て取れるほど。この一帯は危険地帯とされていて、見学の際には硫黄が高温度でぼこぼこ噴き出るクレータ−(くぼみ)に落ち込まないように充分気をつけること。泥の噴出し温泉で有名なクヴェーラロンドにはまた極めて活発な蒸気噴出しが見られるが他の物質を含まない純粋な水ではない。泥噴出クレーターは比較的大きなもので結構エキサイティングな光景だ。蒸気噴出しクレーターの方は多くの場合岩石で被われているために掘削孔が見られる程度で迫力の面では物足りない。温泉にはかなりの量の硫黄沈殿物が含まれているが、19世紀にはナゥマフィヤットル硫黄採鉱事業としてこの地の主産業であった。中世にあってレイキャフリーズ周辺を所有していた人々は火薬を作るために用いられた硫黄の販売で大いに潤っていたという。この一帯はミーヴァトン一帯を含んで1974年に保護区と指定された。

ビヤルトナルフラ Bjarnarflag

ナゥマフィヤットル西にある温泉地帯。1725年−28年に大きな火山噴火があったところで、1975−1984年に起きた所謂クラプラの大噴火によって大きく地形的変貌を遂げた一帯。1977年9月9日、ひとつの蒸気孔から火山逆流が発生し、地面を沈下させ、珪素工場に大きな損害をもたらした。一方、珪素工場から極近くに位置するビヤルトナルフラグでは、流出水が貯えられ、レイキャネース半島のブルーラグーンによく似たブルーの礁湖を誕生させた。ミーヴァトン湖のブルーラグーンの誕生であった。このラグーンでは温泉を楽しむことができるが場所によっては熱湯に近いほど熱いので要注意。

 

ミーヴァトン天然露天風呂 Mývatn Nature Baths

2004年6月30日、北極圏から南に僅か105kmの極北の地に、ミーヴァトン版ブルーラグーンが誕生した。場所はミーヴァトンの中心の村レイキャフリーズからリングロードを東に(エイイルスタジル方面)向かって直ぐ右手。 かつての地場産業として栄えたダイアトマイト工場跡はリングロードを挟んで対面の位置。ブルーラグーンと同様に地熱で温められたお湯が貯えられ、礁湖を形成して露天風呂が楽しめる。天然のスチームサウナバスもあり、着替えやシャワーそしてケータリングの施設も整っている。

自然環境をほど良く残してデザインされた複合施設となっており、完全な自然環境の中での露天風呂が体験できる。先ずは地表深くの割れ目から噴き出てくるもうもうたる蒸気煙の中での天然サウナでリラックス感を味わい、地表下2500mにも達する深さから汲み上げられる地熱水のラグーンで快適な温泉浴とスイミングで大自然を心底体験してみよう。

ラグーンの地熱水にはケイ酸塩鉱物、地熱微生物などユニークなミネラルが豊富に含まれている点はブルーラグーンと同様。温かく、なだめるようなラグーンのお湯は皮膚治療には勿論心のケアにも大きな恩恵をもたらしてくれる。

施設にはレセプションのほか、カフェテリア、 地熱で焼いたパンやスモークした北極イワナなどが手頃の予算で楽しめるマグマ・カフェ、120人収容の着替え室とシャワー設備、いっときに50人まで利用できる天然スチームバスふたつ、そして5000uの地熱温泉ラグーン(38〜41℃に維持されている)が含まれる。入場料はISK2,500(レンタル・タオル: ISK500, レンタル・バスローブ: ISK900)。

■オープニングアワー

冬季(9/01 - 5/31) 毎日  12:00 〜 22:00
夏季(6/01 - 8/31) 毎日  9:00 〜 24:00

 

 

冬季においては22時まで入浴が可能なので露天風呂に浸りながらオーロラに出会うなんてことも夢ではないかも。

ナゥマスカルズ Námaskarð

ナゥマフィヤットルとダルフィヤットルの両山の間を走る狭い山道で鉱山の道を意味する。

ロフトへトリル溶岩窟 Lofthellir

ロフトへトリルは広大な溶岩台地ラクスアゥルダルスフロインにある溶岩洞窟で、約3500年前に地の割れ目ケティルディンギヤゥから出現した。洞窟の全長はおよそ370mで西アイスランドのボルガルフィヨルズゥルにあるスルスへトリル(全長1970m)に比べて規模は劣るが、その洞窟内の氷の造形(自然が創造した氷の芸術彫刻とも云うべき)が驚異的なほどユニークで、華麗な美しさ、内部のヴァリエーションの豊かさそしてスケールの大きさなどから数ある溶岩窟のなかでも最も興味惹かれるもののひとつとなっている。上部空間は10−15mそして床面の広さが約15mの空間がほぼ70mにまっすぐ伸びている。石筍(鍾乳洞の床にできた石灰質の石)や鍾乳石(鍾乳洞の天井からぶら下がった石灰質のツララ)をほとんど持たない珍しい溶岩窟として知られる。


Revised:12/07/23