自然保護区ガイド -1

 

ソゥルスモルク自然保護区

  ÞÓRSMÖRK NATURE RESERVE

 

 


 

スポットガイド

 

 

アウトライン
Þórsmörk ソゥルスモルク

北欧神話の多神教の最もパワフルな神、雷神ソゥルに因んで命名された「ソゥルの森」を意味するソゥルスモルクはレイキャヴィークからは車で3時間15分ほど。リングロードを西に向かい、クヴェーラゲルジ、セルフォス、ヘットラ、クヴォルスヴォットルルなどを経て、サウスショアのルートに入り、セリャランスフォスの滝がある村セリャラントへ。そこから249号線と山岳路ソゥルスメルクゥルヴェグールÞórsmörkurvegurF249)を走破してソゥルスモルクへ向か うことになる。この間の距離はおよそ25km。その途中の中間地点の途中にはマルカルフリョゥト集水地域が拡がっている。広さは1,070平方キロメートル。数多の氷河川が横たわるが橋梁は全く架かっていない。すべて渡河を重ねるドライブとなる。中には深みがあって、流れが急な川も。このため、この地を訪れるには重装備の4WDが必要となる。 加えて、ドライバーの経験や熟達も要求される。更に、ここに至るには2010年3月に発生し、世界を震撼させたエイヤフィヤットラヨークトル氷河のすぐ傍を通る。

ソゥルスモルクの中心はフーサダルールHúsadalur、レイキャヴィークからのバス(例年6月中旬〜9月中旬に運行)もここがターミナルになる。フーサダルールには、ここをベースに幾つかのハイキング・ルートが用意されていて、興味惹かれる洞窟やマルカルフリョウトスグリューフル渓谷へのルートは一般のツーリストへお勧めのショートコースとなってとなっている。

雄大な山岳、エイヤヒャトラヨークトル,ミールダルスヨークトルそしてティンドヒャトラヨークトルの3つの氷河そして氷河川による自然の境界線を持つ美しい自然保護区。アイスランドには自然が創造した数多の造化が存在するが、ここソゥルスモルクはその代表的な存在のひとつと云える。南はクロッスアゥ川、西はマルカルフリョゥト川、北はリョゥスアゥ川(いずれも橋は1本も架っていない)そして東はミールダルスヨークトル氷河が周囲との境界になっていて、いわば、四方が橋のない河川、氷河と山々に抱かれ、隠れるように横たわっている美しい自然保護区としてユニークな存在。加えて、その特別な気象上の条件が 特別な田園詩的な環境を作り出している。周囲の厳しく、過酷な気象条件から遮蔽するかのように氷河や山々によって四方が囲まれ安全な一画をなしている、それがオアシス的存在 と称される所以だ。

息を飲むような光景と多様な動物相の地でもあり、170種以上の植物群、樹木、苔、シダが観察できる。ここには数えきれないほどの谷、森林、氷河川、澄み切った 清冽な小川や雄大な山岳があり、絶好のハイキング・スポットとなっている。 この地区の山岳は氷河底の噴火によって創造されたもので、茶褐色の火山岩のソーダ雲母からなっていて、玄武岩と比べて浸食されやすい性質を持って いる。

 

ソゥルスモルクを取り囲む3つの氷河について

ミールダルスヨークトル氷河Mýrdalsjökull

「湿地の谷の氷河」を意味するミールダルスヨークトル氷河の面積は596㎢、その最高点は1480m。アイスランドでは4番目に大きい氷河だ。1918年に大噴火した非常に火山活動が活発な中央山塊の上に横たわっている。その火山は氷河底火山カットラ(Katla)でカルデラの直径はおよそ10kmと推測されている。噴火はカルデラの内外部の多くの場所でおき、大きな氷河の破裂爆発となることがしばしば。その際、突き出た舌部を下方に流れ落ち、大量の水を放流する。

エイヤフィヤットラヨークトル氷河 Eyjafjallajökull

ミールダルスヨークトル氷河の西に続く位置し、南アイスランドで最も高いエイヤフィヤトラヨークトル(Eyjafjallajökull)、3〜4km幅のクレーターを持つ氷河。「島の氷河山」の意味を持つ海抜1,666mの氷河火山でアイスランドでは8番目の標高。南沿岸部の沖合に浮かぶ群島ヴェストマンナヤイルが一望できることからこの名前が付けられた。山塊は数千年間も続いた噴火の結果であることがはっきりと見て取れ、氷河期中期から完新世にかけて頻発した噴火によって出現したもの。氷河はほぼ100kuの地域に広がる。3〜4km幅の大きなクレーターを持っていることからアイスランド有史以降において何度かの噴火を繰り返していたものと考えられている。1612年と1812年〜1823年に起きた2回の噴火だけは記録に残されていて、この2回の噴火の際にはエイヤフィヨットル山とフリョゥトスフリズ斜面の間の低地帯に溶けた氷河の氷が大量に流失、大洪水をもたらし、結果として大量の降灰と共に膨大な損害をもたらしている。19世紀の終わりごろには地震活動が頻発し、地割れから洩れ噴き出るガスがはっきりと観測されたと記録されている。頂上の氷冠の面積はアイスランドで5番目の広さ。北側の斜面の麓に向かって急勾配で流れ落ちる 「噴火口の氷河」を意味するギーグヨークトル(Gígjökull)とステインスホルトスヨークトル(Steinsholtsjökull)の二つの舌氷河を持っているが両方共に氷河の先端部には潟湖があり、氷河から崩落した流氷が浮かんでいる。

ティンダフィヤットラヨークトル氷河 Tindafjallajökull

「大釘の山の氷河」を意味するこの氷河は面積が僅か19㎢と小さい。ミールダルスヨークトル氷河の直ぐ北西に位置している。尖った峰が連なっていることからこの名前が付けられた。その最高峰はイーミルで標高は1462m。東部の氷に覆われた一帯の下部は流紋岩が主体で北東部分の下部には広大な火口シンズリが横たわっている。何本かの川がこの氷河から流れ出ていて、そのほとんどが東ラングアゥ河とマルカルフリョゥト河に注いでいる。

 

フィムヴォルズハゥルス Fimmvörðuháls        
 エイヤフィヤットラヨークトルとミールダルスヨークトルの両氷河の間にある 、
「5つのケルンがある峰々」意味する山稜(環状山)。かってはこれも氷河によって覆われていた。この辺りは上記2つの氷河を遮るようにしているクレーター地で、両氷河が一つに繋がっていた。雄大な両氷河を目の当たりに見られる魅力のスポット。スコゥガルからフィムヴォルズハゥルスまではジープ用のトラックが走っている。そこからゴーザランド(Goðaland)とソゥルスモルクまではいいハイキング・パスになっている。しかし、ハイキングをエンジョイするにはジープトラックを通るよりはスコゥガアゥ川沿いのハイク用の標識に従ってソゥルスモルクに向かうルートがお勧め。ジープトラックでは見られない余多の滝の光景が楽しいからだ。

 

エイヤフィヤトラヨークトル氷河と噴火について

エイヤフィヤトラヨークトル氷河(Eyjafjallajökull)

「諸島の氷河山」の意味を持つ海抜1,666mの氷河火山でアイスランドでは8番目の標高。南沿岸部の沖合に浮かぶ群島ヴェストマンナヤイルが一望できることからこの名前が付けられた。山塊は数千年間も続いた噴火の結果であることがはっきりと見て取れ、氷河期中期から完新世にかけて頻発した噴火によって出現したもの。氷河はほぼ100kuの地域に広がっている。34km幅の大きなクレーターを持っていることからアイスランド有史以降において何度かの噴火を繰り返していたものと考えられている。1612年と1821年〜22年に起きた2回の噴火だけは記録に残されていて、この2回の噴火の際にはエイヤフィヨットル山とフリョゥトスフリズ斜面の間の低地帯に溶けた氷河の氷が大量に流失、大洪水を発生させ、結果として大量の降灰と共に膨大な損害をもたらした。19世紀の終わりごろには地震活動が頻発し、地割れから洩れ噴き出るガスがはっきりと観測されたと記録されている。頂上の氷冠の面積はアイスランドで5番目の広さ。北側の斜面の麓に向かって急勾配で流れ落ちるギーグヨークトル(Gigjökull)とステインスホルトスヨークトル(Steinsholtsjökull)の二つの舌氷河を持っているが両方共に氷河の先端部には潟湖があり、氷河から崩落した流氷が浮かんでいる。

エイヤフィヤトラヨークトル氷河火山について

最初に噴火した正確な地点はエイヤフィヤットラヨークトルとミールダルスヨークトルの両氷河の間にある 、「5つのケルンがある峰々」意味する山稜(環状山)フィムヴォルズハゥルス@ アイスランド時間(GMT)321日(土)2330分に発生した。ここはかつては氷に覆われていたが現在では夏場には4WD通行できる山岳路。噴火後新たに二つのクレーターが出現している。

4月10日過ぎにはこの最初の噴火はほぼ治まりかけていたが、4月14日になってフィムヴォルズハゥルスの西側に隣接するエイヤフィヤットラヨークトル の舌氷河ギーグヨークトルから新たな噴火が始まった。 氷河底の噴火のゆえに大量の火山灰と氷河の一部の溶解で火山泥流を発生させた。これがその後の空港閉鎖などの問題を惹起させ、ヨーロッパから/への航空機の運航に甚大なる影響を与える一方で、国内的には氷河川マルカルフリョゥトに大洪水をもたらし、橋梁や道路が大きな損害を受け ることになった。国道1号線の道路と河に架かる橋の通行に支障を来たした。しかしながら、幸いなことに、5月に入って橋梁や道路は修理、修復され、一般通行が可能になって 、アイスランドを周遊する環状1号線を走る長距離バスなどは完全に正常化された。

噴火源はエイヤフィヤットラヨークトル氷河。火山活動は、隣のミールダルスヨークトル 氷河の地下火山カットラと密接に関連しながら活動することで知られている。カットラ火山は、世紀ごとに平均して2回の噴火を繰り返す活火山。アイスランドに移住が始まって以来、カットラの噴火はほぼ20回を数える。最後の噴火は19188年10月で58年振りのもので、南部の沿岸は火山泥流が起こした大洪水による堆積物が沖合に5kmも拡がり、大きな被害をもたらしたことで世界の地質学者が注目していたが、幸いにもカットラ火山への影響はなく終息した。

 

 

ステインスホルトスヨークトル Steinsholtsjökull
 
エイヤフィヤットラヨークトル氷河の北の部分からの舌氷河。氷河の先端部の傍に小さな湖があり、ここを源流としている川がステインスホルトスアゥ。1967年1月、山の広大な部分が崩れ落ちて、氷河に衝突し、そのために大洪水を起こしたことで知られている。

ギーグヨークトル Gígjökull
 
エイヤフィヤットラヨークトル氷河の北側の斜面を麓に向かって急勾配で流れ落ちる舌氷河。エイヤフィヤットラヨークトルの噴火口から流れ出ていることから 「噴火口の氷河」と名付けられた。氷河の直ぐ真ん前には氷河礁湖ヨークルロゥンJökullónがあり、その最深部の深さは40mを超え、通常なら湖上に漂う氷塊が見られる。

タックホルトスギャゥ Stakkholtsgjá

ソゥルスモルクの南西部でステインスホルトスヨークトル氷河(エイヤヒャトラヨークトルの舌氷河)付近にある大きな割れ目渓谷。谷の両壁はほぼ垂直で高さは100mもある。渓谷はふたつに分けられ、左の部分は清流の愛らしい滝がある狭い深淵まで続いている。スタックホルトスギャゥを抜けてこの滝付近までは絶好のハイキングパスになっている。所要は1時間程度(片道)。

ゴーザランド Goðaland

クロッスアゥ川の南岸の一帯で川を挟んでソゥルスモルクは対岸に位置する。小さな峡谷、渓谷、氷河など大自然の審美な地域で広大なカバの森林が特徴。アイスランド・ツーリングクラブのハットが二つある。

 



Revised:11/03/31