ミッドナイトサン/視界
ミッドナイトサン
アイスランドは緯度のせいで、夏は昼間の時間が極めて長く、逆に冬は格別に短い。レイキャヴィークを例に挙げれば、1日の最長の日照時間はほぼ21時間で、最短は4時間を切る。北部では、夏の太陽はほとんど沈むことがなく、7月においては真夜中過ぎに辛うじて日没を迎える。
このように、アイスランドの日照の量は年間を通して著しく変化する。1931〜1960年の期間の日照時間の年間平均は1249時間,このうち7月単月が189時間で、12月は僅か8時間である。アイスランドの北寄りの位置は、また太陽が地平線から50度以上は昇らないということも意味する。それ故に、丘陵の北での日照時間の長さは極めて短く、定住が確立された頃の重要な考慮ポイントであった。
上の写真はは毎年6月アークレイリで開催されるミッドナイト・ゴルフコンペでテイ・オフは20時頃。ミッドナイト・サンと沈まない太陽(日の出日の入り)
視界
クリーンな国アイスランドでは、視界の良さも隠れた魅力。夏の昼間の視界は、ほんの少し霞む時があるが,50〜60Km先の山々が見れるほど格別 に素晴らしい。例えば、レイキャヴィークから約110Km 北西に離れたスナイフェルスヨークトル氷河が鮮明に見ることができる。一般 家庭の暖房用の泥炭や石炭利用から地熱エネルギー利用への完全移行や産業が少ないことが事実上大気をスモークレス状態に保ち、これは都市部においても変わらない。しかし、雨が降り雲が低く垂れこめるときや砂塵嵐が発生したときには視界は急激に落ち込む。暖かい天候のとき、しつこい熱煙霧が視界を悪くし、時には遠く隔たった道路や渓谷に蜃気楼を創り出す。
オーロラ・ボリアリス
オーロラの出現
オーロラは北極に出現するのはAurora
Borealis(ボリアリス=北極光=Northern Lights)で南極を中心に出るのがAurora
Australis(オーストラリス=南極光=Southern Lights)と区別して称されている。アイスランドで出現するオーロラは当然ながらオーロラ・ボリアリスだ。左のイラスト参照。アイスランドは、オーロラが最も頻繁に現れるいわゆるオーロラ帯の中心に位置し、このため、オーロラは通常21時〜1時頃の間に出現する。 空が澄み切り、たくさんの星が見える程度に空が晴れてさえいれば、少なくとも真夜中付近にはアイスランド中でオーロラを見ることができる。オーロラが出現するのは一般的には秋〜春(9月〜4月)の時季だが、最も早い例では7月下旬という記録もある。因みに2006年は8月19日に最初の現象が街の夜空に舞っている。
大抵の場合、帯状やカーテン状の緑や赤の色かかった光線が怪しく空を輝かす(時には別なコロナ形状のオーロラも見られる)。 オーロラは地球の磁極近くの高層大気に突入する太陽からの微粒子(太陽風)が飽和されることによって生じる現象で、約100km上空に出現する。太陽から吹いている太陽風が地球磁場に捉えられ、磁力線に沿って極地方に降り注ぎ、高層大気にある原子や分子に猛スピードで衝突する際に作り出される光が自然界の中で最も美しい現象の一つであるオーロラだ。
オーロラの発生頻度や光の強さは太陽の黒点の活動が大きく影響していることがわかっており、黒点数が多くなれば太陽の表面で爆発が頻繁に起こって、烈しい太陽風が吹き出し、より多くのオーロラ発生を促す。黒点は概ね11年の周期で多発し、最近では2000年〜2001年にピークを迎えた。2008年1月8日の毎日新聞は「太陽の北緯28〜29度にできた新たな黒点を、京都大飛騨天文台(岐阜県高山市)の望遠鏡がとらえた。黒点は約11年周期で増減を繰り返しており、今回の黒点は新たな周期に入ったことを示す。黒点の数が最も増える極大期は2012年前後。次回の極大期には1960年以来の大規模な太陽活動がみられるとの説が有力で、学界の注目を集めている。」
アイスランドにはラングヨークトル氷河に近いボルガルフィヨルズゥルのフーサフェットルや北アイスランドのフーサヴィークに近いマゥナゥルバッキ等の小村4箇所に日本の国立極地研究所がアイスランド大学との共同で運営管理している観測ステーションがある。
アイスランドは南極昭和基地と1本の磁力線でつながっているため、両方の地点では非常に良く似たオーロラを見ることができ、これらの観測ステーションでは南極昭和基地と呼応したオーロラや地磁気活動などの観測を続けている。アイスランドでは8月末から4月中旬のほぼ8ヶ月に亘ってオーロラが出現するが、南極昭和基地と同時にオーロラを観測できるのは3月と9月の限られた期間で、国立極地研究所の研究者はこの時期を中心にアイスランドを訪れ、観測を続けている。ステーションそのものは常時、60を超えるアンテナがキャッチしたオーロラの痕跡や動きを複雑なコンピュータや観測機器に繋いで記録分析を行っている。
アイスランドにはラングヨークトル氷河に近いボルガルフィヨルズゥルのフーサフェットルや北アイスランドのフーサヴィークに近いマゥナゥルバッキ等の小村4箇所に日本の国立極地研究所がアイスランド大学との共同で運営管理している観測ステーションがある。
●人々に伝承されてきたオーロラにまつわる昔話。
アイスレンドでは何世紀もの間、この不思議な現象が何であるか誰も知らなかった。特に、アークレイリを中心とする北アイスランドにはオーロラにをテーマにした民話や伝説がが数多く残っている。それによると、あの夜空に怪しく舞う光は天の遥か高いところにクリスタル状の何かがあって、それが発するものだと伝え、また他には、地上の氷河に差し込んだ太陽光が屈折して起きる現象だと伝えられていた。これらは一応科学的に究明しようとしたものといえるが、中には、日本の”火の玉”の言い伝えと同じように死人や動物の亡骸の魂が夜空にダンスをするようにエンルギッシュに漂っているといった伝説も残っている。いずれせよ、昔のアイスランドの人々にとってオーロラは忌み嫌われ、恐ろしい存在であった。勿論、現代のアイスランドの人々はオーロラのことを“ノーズル・リョス”(北極の光)と言って親しんでいる。
●オーロラを本気で売ろうとした男の話。
アイスランドには夜空に舞うオーロラを売ろうと試みた男につぃての有名な話がある。この男の名前はエイナール・ベネディクトソン(1864-1940)、偉大な詩人であると同時に事業家でもあった。彼はこのユニークなアイディアを武器に最後まで彼の販売手腕を発揮しようとした。誰もが思い、懐疑心を持ったことは疑いない。それはエイナールが如何にしてオーロラを彼の顧客の頭上高くに置けるかと云うことだった。遂には彼のこの販売努力は報われることが無かった。しかし、エイナールが如何にして彼の商品”オーロラ”をデリバリーしようとしたのかを知ろうと多くの人々に関心を持たせたことも事実のようだ。
●アイスランドでのオーロラ観察をお薦めする最大のポイントは
(1)冬も温暖な西岸海洋性気候。暖流メキシコ湾流の恩恵を受け、冬はびっくりするほど穏やかな気候。平地での気温は、1番寒い1月でも秋田市なみ。詳しくは「アイスランドの気候」参照。
(2)夜のオーロラ鑑賞は勿論、昼間は真冬でもグトルフォスの滝、間欠泉ゲイシール、南海岸の景勝地、レイキャネース半島など観光を存分に楽しめるほか、ホースライディング、スノーモービル氷河ツアー、虹マス釣りなどアクテビティも気軽に体験できること。
(3)出現すればレイキャヴィークでもオーロラは鑑賞できるが、市街から車で10〜15分走ればそこは暗闇で覆われた絶好のオーロラハント・スポット。
(4)特に、9月初旬から10月中旬頃まではまだ夏の雰囲気が残っており、昼間は氷河探訪、ホエール・ウオッチングそしてハイキング等で過ごし、夜はオーロラハントに挑戦できること。
日の出/日の入り
アイスランドは緯度のせいで、夏は昼間の時間が極めて長く、逆に冬は格別に短い。レイキャヴィークを例に挙げれば、1日の最長の日照時間はほぼ21時間で、最短は4時間を切る。北部では、夏の太陽はほとんど沈むことがなく、7月においては真夜中過ぎに辛うじて日没を迎える。