気候の特徴と気温 |
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アイスランドは北極圏のほぼ南に位置しているにもかかわらず、海洋環境の所為で冬も温暖な西岸海洋性気候となっている。暖流メキシコ湾流(ガルフストリーム)の恩恵を受け、夏は涼しく、冬はびっくりするほど穏やかな気候。平地での気温は、夏は12〜15℃、1番寒い1月でも秋田市なみで、シカゴやウイーンより高い。位置する緯度とその国名「アイスランド」から受けるイメージのために相当寒い印象を持ちがちだが、首都レイキャヴィークでの冬の積雪も1回が4〜5日続くことがあるが年平均数回程度で札幌のように冬の間積雪が残ることは無い。アイスランドが極地性と熱帯性の両大気団の境界線上にあること、そしてメキシコ湾暖流とグリーンランド寒流とが交錯するところに位置することが、風が強く変わりやすい気候にしているのが最大の特徴となっている。 上のアイスランドを取巻く潮流図を一見すれば、アイスランドの緯度から暗示される気温よりずっと暖かいという驚くべき事実がよく分かる。寒流(⇒寒流)がグリーンランドから南に漂流しているが、アイスランドの北部や東部に対するその影響は、南西部から流れてくる暖かいメキシコ湾支流の暖流(⇒暖流)の通過によって相殺されてるからだ。約4℃〜12℃の暖流がフェロー諸島からグリーンランドまで走る海嶺にぶつかり、南部と西部沿岸沿いに時計回りに流れる。このことは、同緯度に位置する国々と比べて冬の厳しさを和らげる一方で、海水温度を北部においては1℃(2月)、7℃(8月)、南部に於いては6℃(2月)、11℃(8月)にしている。この暖かい海水温度と同時、南西部からの風が沢山の雨と雪を降らせる。その多くは南部の氷河地帯に集中する。ヴァトナヨークトル氷河の降雨量は年間約4000mmに達する。しかし、氷河の氷帽が北部に連なるハイランドを保護し、ミーヴァトン湖周辺を含む北部アイスランドは年間の降雨量がわずか400mmに過ぎない。しかしながら、吹雪は夜霧のように年間を通じていつでも発生しうる。時折、グリーンランドからの流氷が到達し、かつてはウエストマン諸島のヘイマエイ港を塞ぐほどにもなった。北西部に最初に現われる流氷は、漁洲、船舶への影響、作物の成育期間や収穫期間の短縮化など極めて深刻な事態をもたらす。しかしながら、1600〜1900年の小氷河期の後のほぼ1世紀にわたる気温の上昇がアイスランドに多大な変化をもたらし、氷河は2〜3Kmも縮まり、1919〜1964年にかけては海氷はほとんどなくなった。しかし、その後、、特に1965〜1968年にかけて冬には南東沿岸部に沿って、大量の流氷が見られるなど気温は下がる傾向に戻っている。 夏の気温は今日では一番暑い7月の平均気温で9℃〜12℃。高地では海抜高度100m毎に0.5〜0.7℃下がる。沿岸部の冬の気温は比較的穏やかで2℃〜-2℃。但し、内陸部の条件はかなり厳しい。グリーンランドとアイスランドの北西部との間に半恒久的な低気圧の一帯があり、これがアイスランドの気象条件を風が強く、天気が変化しやすいものとしている。しかし、雷雨の発生は極めて稀である。砂塵嵐は高い平地にある広々とした砂漠地帯で発生することがある。砂塵雲は時には1000mの上空にも達し、空を闇の世界にすることもある。フィヨルド地帯では、穏やかな海風がもたらす海霧が吹き寄せ、川面や居住地、丘陵地を一面覆うことがある。アークレイリの周辺には北に向かってフィヨルド沿いに長く延びる強い風が出現することがあり、通常午後に風が吹き始め、大抵2〜3時間で消滅する。
★レイキャヴィークとアークレイリの月別平均気温(1993〜2004)
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Revised:05/09/21