世界遺産に登録された

国立公園としてのシンクヴェトリル

シンクヴェトリルは1928年5月7日にアイスランド国会アルシンギを通過した法律によって、1930年に国立公園に指定された。このとき通過した自然保護法には次のように謳われている。

「シンクヴェトリルは全アイスランド国民にとって永遠に保護すべき国家的聖地である。議会の保護下のもとに国家としてのアイスランドの永久の財産であって、売却や抵当の対象には絶対にされてはならない」。

シンクヴェトリルの保護法案は居住者の侵害によって起こり得る自然環境の変化を阻止するという観点において、その後のアメリカにおいて確立された国立公園のモデルとされている。シンクヴェトリル国立公園では居住が認められない地域は広大で自然が保護されており、訪れることは自由にできるが居住したり、開発したりすることは一切禁じられている。

アイスランドの人々は自分たちが接している自然や歴史的スポットは次世代の人たちも同じように楽しみや感動を享受できなければならない、そのためにはこのような自然保護政策は必要との認識を共通して持っているようだ。

シンクヴェトリルを国立公園に定めた法律文によれば、保護地域の境界領域は西はアルマンナギャゥ、東はフリーザルギヤゥとフラプナギャゥ。南北は、アルトナルフェットル山の最高地点とカゥラスタジル・ファームを直線で結んだ個所が南で、アゥルマンスフェットル山から溶岩原を東に向かって真っ直ぐ延びてフリーザルギヤゥに至る線上が北の境界線となる。

近年、アイスランドの国会であるアルシンギの統括のもとにシンクヴェトリル委員会が設立されて当該国立公園の管理に当っているが、シンクヴェトリル委員会はシンクヴェトリルをより多くのツーリストに理解してもらえるように「シンクヴェトリル・エキジビションセンター」を設立している。センターはアルマンナギャゥや国立公園が一望できるビューポイント・ハキーズ(Hakið)のすぐ傍にあり、双方向性マルチメディアによるエキジビションが楽しめる。シンクヴェトリルの自然や歴史を大きなTVモニターで理解することができる。センター内のエキシビションは4月1日から11月1日の9時−17時にオープンする。入場は無料。

シンクヴェトリル・エキジビションセンターとは別に、キャンプサイトに近いレイラル(Leirar)にはインフォメーション・センターがあり、国立公園全般の情報を入手できる。オープンは5月1日から9月30日。センター内にはカフェテリアもあって4月〜10月にオープンしている。遊歩道ガイドやハイキング・ルートが標された全公園のマップも用意されている。ハイキング用の小道は公園全体に広がっている。古代の議場の周辺には廃墟化したファームが今でも残っているがそうした光景もハイキングで訪れることができる。

2002年からはシンクヴェトリル委員会はアイスランド考古学研究所に委託し、シンクヴェトリルの考古学発掘に着手している。発掘調査はシンクヴェトリル以外のアルシンギを含む地方議会に関連する全国の現場でも平行して行われる予定で計画は2006年まで続けられる。

 

シンクヴェトリルが世界遺産に登録される

 

世界遺産に登録された理由はふたつ…文化・歴史&自然(地質)

アルシンギ

地溝帯ギャゥ

 

シンクヴェトリルがこの度2004年7月7日、中国の蘇州で開催された世界文化自然遺産保護に間するユネスコの世界遺産委員会においてユネスコの世界遺産に登録された。

シンクヴェトリルを保護する事は全人類に多大なる恩恵をもたらし、極めて普遍的な価値があるものと確認された結果である。

シンクヴェトリルは国立公園として国の保護監理下にあるが、独立国家の聖地としてアイスランド国民の最も敬う存在である。文化的且つ歴史的な意義の側面に加えてそのユニークな自然環境とユーラシア大陸と北米大陸の構造プレートに跨る境界線としての極めて珍しい地質(地溝帯ギャゥ)で世界遺産に登録されたものである。

 

 


Revised:04/11/08